ドリルをあれこれ試したのに、上達した実感がないあなたへ。
Youtubeで見つけたドリルを試して、雑誌で見つけたドリルも試して、レッスンで教わったドリルも試して。この半年で8つくらいは追いかけました。なのに、スコアは動かない。
ほとんどの場合、問題はドリル自体にない。「こなし方」の側にあります。
この記事は、ドリルが身にならないパターンを整理した上で、目的別に8つを紹介します。ドリルの一覧としてではなく、「どう使うか」の手引きとして読んでください。
起:ドリルが効かない人の「こなし方」の問題
まずは、多くの人がはまっている落とし穴から。
落とし穴1:1日で複数のドリルをこなす
練習場に着いたら、Aドリル10球、Bドリル10球、Cドリル10球、そしてフルスイングで調子確認。見た目には充実したルーティーンです。
でも身に定着させるには、一つの感覚を「しつこく」繰り返す必要があります。その感覚が入りきる前に次から次へ移る練習は、表面をなぞっているだけに終わります。
落とし穴2:ドリルの「狙い」を言えていない
「このドリルは何を目的にしているか」と聞くと、「スイングが良くなるため」と返してくる人が多い。
それでは絞れていません。今日やるドリルは、今の自分のどこを修正するためのものか。これを口に出せるようになってはじめて、ドリルはスコアを動かす働きを持ち始めます。
落とし穴3:「できるようになった」と「身になじんだ」を混同する
ドリルのやり方がわかって、ドリル通りの形で振れると、「もうこのドリルは卒業である」と感じてしまう。
でも本当に身になじむのは、ドリルの感覚が「ドリルをやらない通常のスイング」にも移ってからです。そこまでは、ドリルの中に置いたままの状態。ドリルができるのと、成果が出るのは別のものです。
承:ドリルの「正しい使い方」の土台
じゃあ、どう使うか。根底に置いてほしい原則が三つあります。
原則1:1回の練習にドリルは「一つだけ」

必ず一つに絞る。その日のテーマを定めて、それだけのために7〜8割の球を使う。残りの2〜3割はまとめのフルスイングに使い、ドリルの感覚がスイングに効いているかの確認に使います。
「一回50球打ちたい」と言う人には、40球はドリル、残り10球はチェックの配分です。
原則2:ドリルは「違和感の体験」が目的
良いドリルは、今までの自分の感覚との間に「違和感」を生みます。体のどこかが「変だな」と感じるなら、それは悪癖が剥がれようとしている証拠。違和感のないドリルは、ただ体を動かしているだけで終わります。
「この感覚、気持ち悪いな」と感じたら、そこからが本番。その違和感が、スイングのテンプレートを更新します。
原則3:ドリルは「直す」じゃなく「読み切る」
ドリルは、体のある一部分の動きを読み切るためにやるものです。読み切った後、スイングがどう変わるかは体が決める。「ドリルをやり続けたら球が良くなる」のではなく、「読み切れたら球は後からついてくる」。
この順序を逆にすると、「ドリルはやったのに役に立たない」という不満が生まれます。
転:目的別ドリル8選
では本題のドリル。僕がレッスンで実際に使っているものを、目的別に8つあげます。すべてをやる必要はない。今の自分の課題に合うものを選べるように並べています。
目的①スイングの軸を安定させる→「額にタオル」
アドレスで額にタオルを載せて、そのまま振る。フィニッシュまでタオルが落ちないなら、軸が定まっている。前傾が崩れる原因を構造的に整理したい方は前傾崩れの3大原因もあわせてどうぞ。ドライバーやウッドを力任せに振る人におすすめ。
目的②下半身の動き出しを覚える→「踏む先振り」

トップまで振り上げたら、一拍置いて、左足の土踏まずを踏んでから切り返す。下半身から打つ感覚が入ります。飛距離で悩む人に特に効きます。
目的③右に残った体重を戻す→「左足一本立ち」
右足を一歩だけ後ろに引き、左足一本で立つのに近いスタンスを作る。そのまま小さく振る。重心が左へ移る感覚が体に入ります。スイング中に体が右に残る人におすすめ。
目的④インパクトの当たりを整える→「ハーフスイングでティーアップした球を打つ」
小さな振りで、ティーアップしたボールを打ちに行く感覚で振る。ダフリやトップを止められます。下半身全体の使い方を段階的に身につけたい方は下半身完全攻略5ステップもあわせてどうぞ。
目的⑤スライスを止める→「球の手前にティーを立てる」
球の手前15cmにティーを立てる。クラブが外から下りてきてティーに当たったら、アウトサイドインで振っている合図。インサイドから振るルートに修正されます。スライスの動き出しについてはこちらの「スライスは動き出しで決まる」も合わせて読むといいです。
目的⑥ダフリ・トップを減らす→「かんたんノックダウン」
アドレスからみぞおちの高さまでクラブを上げて、その高さを保ったまま打つ。クラブの上下動が減り、ダフリとトップの両方に効く一石二鳥ドリル。
目的⑦振りのリズムを整える→「待つ、踏む」拍子

心の中で「待つ」「踏む」と唱えながら振る。トップで「待つ」、左足を踏んで「踏む」。リズムがスイング全体の流れを整えてくれます。
目的⑧肩の力を抜く→「片手振り」
左手1本だけで振る。最初は全然当たらないはず。でも振り続けると、肩に入っていた余分な力が抜ける。両手に戻したとき、スイングが軽くなる。肩に力が入りやすい人に特に効きます。
結:今週、一つだけ選んでみる
今日書いたことを3行で。
- ドリルは「こなす」じゃなく「その日のテーマを一つに絞る」方が効く
- ドリルの目的は「直す」じゃなく「読み切る」。直るのは体が勝手にやる
- 8つのドリルは全部やるんじゃなく、今の課題に合うものを一つ選ぶ
今週の一回の練習で、「今日は○○ドリルの日」と決めてから、練習場に入ってみてください。うまく効いた実感がなくても、その一日で得られる情報量は、あれこれ手を出したときの数倍になります。
練習を「球を打つ場所」じゃなく「自分を読み直す場所」に切り替えた瞬間、スコアも楽しさも更新されはじめる。その一歩を今日踏めたなら、この先は調子の良さの質が変わってきます。
FAQ
Q1. 8つのドリルをだいたいどの順で取り組めばいいですか?
A. 決まった順はありません。今の自分の悩みに結びつくものから選んでください。練習時間が短い日や、まず基本動作を整えたい方は30球で基本スイングを作る3ドリルから入ると、その後の単体ドリルが効きやすくなります。飛距離なら②踏む先振り、スライスなら⑤球の手前にティー、リズムが安定しないなら⑦拍子。テーマごとに数週間、最低でも10日は同じドリルを続けます。
Q2. ドリルが上手くいかなくても続けた方がいいですか?
A. はい。上手くいかないのは、今の体の使い方との間に違和感が生まれている証拠です。続けているうちに、その違和感は少しずつ小さくなっていきます。つまり身になじんでくる。スイングにとってよいドリルの目安は「最初はめちゃくちゃだけど、繰り返していると自然にできるようになる」もの。最初から上手くできるドリルは、違和感が小さいということなので、効果も薄いことが多いです。
Q3. クラブは何を使えばいいですか?
A. 基本は7アイアンから始めるのが無難です。振りやすく、球のフィードバックももらいやすい。うまくなってくると、ドライバーやウェッジに広げて、クラブごとのチューニングをかけていきます。
Q4. ドリルとスコアの関係はどう思えばいいですか?
A. ドリルは間接的にスコアに影響します。直接的にスコアを動かすのは、こちらの「ベスト更新に必要な5つの数字」で触れている数字の方。スコアを「クラブ選択」から組み立てたい方は100切りに必要な5本のクラブ戦略もあわせてどうぞ。ドリルで身体動作を整えて、数字でコースマネジメントを整える。この二つに分けて取り組むと、スコアが全体として整ってきます。
著者プロフィール
鳥居俊佑(とりい しゅんすけ)。ゴルフ歴17年、20歳でクラブを握り、現在37歳。自身も「ドリルコレクター」時代に何年も迷った経験から、「1回1ドリル」の原則を確立。現在はshungolfacademy.comでオンライン/オフラインのレッスンを展開し、累計2000名以上のゴルファーの「楽しみの深化」を支援している。
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