「練習ではまあまあうまくいくんですけど、本番だと緊張してしまって。トップしないようにとか色々考えすぎると、逆に悪い癖が出て、引いちゃうんです」
オンラインレッスンで、受講生のTさんからいただいた相談です。トップは、ボールの頭をたたいて低く転がってしまうミスのことです。
練習ではできるのに、コースではうまくいかない。これは、どうしてもあるものです。コースでは1球の重みがまるで違うので、そうなるのが普通だと思ってください。
レッスンでお話を聞いていると、原因は大きく2つのパターンに分かれます。
1つ目は、練習場では、インパクトでなんとなく合わせながら打てているパターンです。コースでは、それがやれなくなります。
2つ目は、コースに行くと考えすぎてしまって、練習通りに体が動いてくれないパターンです。Tさんは、こちらです。
僕もどちらかというと考えすぎてしまうタイプなので、Tさんの気持ちはすごく分かります。
この記事は2つ目を中心にお話しします。1つ目のパターンに練習場で気づく方法は、記事の後半、練習の最後の打ち方の所で紹介します。
先に結論をお伝えします。
ラウンドに強いスイングとは、コースでスイングを細かく考えなくても振れるスイングです。ボールの後ろから見て狙いを決めたら、動きの確認は素振りまで。アドレスをチェックして構えたら、スイング中に意識するのは「狙った方向へ、フィニッシュまで振り抜く」の1つだけです。体の動きは、練習場で作っておきます。
動きの確認は素振りまで
構えたらターゲットだけ
こんにちは、オンラインゴルフコーチの鳥居俊佑です。レッスン11年目、これまで3,200名以上の方をレッスンしてきました。コースで体が固まってしまう方にレッスンでお伝えしていることを、次の順番でまとめます。
- コースで体が固まる理由
- 体を意識するか、クラブを意識するか
- コースでの振り方
- ラウンド中にミスが出たときの立て直し方
- ラウンドに強いスイングを、練習場で作る方法
コースで体が固まるのは、スイング中に体の動きを意識するから
コースでは、練習場のように同じ所から何球も打ち直すことはできません。練習場とは1球の重みが違うので、慎重になるのは当たり前のことです。
慎重になると、アドレスに入ってから、練習場で覚えたスイングのチェックポイントを、1つずつ思い出し始めます。トップしないように。左肘を伸ばそう。頭を残そう。
チェックが増えるほど、大事に打ちたくなります。ところが、慎重に振るほど、ヘッドは動いてこなくなります。ヘッドスピードが落ちて、当たりも薄くなっていきます。
レッスンでも、こうお伝えしています。
「大事に打ちたくなってしまうんですけど、ヘッドが動かなくなればなるほど、逆にうまく当たらなくなってきてしまうんです」
スイングは、揺れている振り子に似ています。揺れている振り子に途中で手を添えると、そこで止まってしまいます。スイング中に体のどこかを直そうとするのは、この手を添える動きと同じです。
しかも、切り返しからインパクトまでは、約0.3秒しかありません。その間に体のどこかを直そうとしても、考えてクラブの軌道やフェースの向きを合わせようとしても、間に合いません。
細かい体の動きに意識がいくほど、スイングは止まりやすくなります。レッスンでは、こうお伝えしています。
「細かい体の動きに意識がいってしまうと、逆に止まってしまいやすいんで」
体を意識するか、クラブを意識するか|インターナルフォーカスとエクスターナルフォーカス
スイング中にどこを意識するかには、呼び名があります。
- インターナルフォーカス(内的フォーカス):体の部位や動きそのものを意識すること。腰を回す、左肘を伸ばす、頭を残す、など
- エクスターナルフォーカス(外的フォーカス):クラブやボールなど、体の外にあるものを意識すること。クラブの動き、狙った所、など

コースで体が固まるときは、スイング中の意識が、インターナルフォーカスになっています。
ゴルフの実験もあります。ゴルフをしたことがない22人が、ピッチショットを80球練習しました。腕の振りを意識した組と、クラブの振り子の動きを意識した組に分けています。目標の近くに打てていたのは、クラブを意識した組です。練習中も、翌日にもう一度打ったときも、同じでした(ウルフらの実験・1999年)。
上級者でも同じ結果が出た実験や、くわしい理屈は、スイング中の意識についての記事で解説しています。その記事では、インターナルフォーカスを内部焦点、エクスターナルフォーカスを外部焦点と書いています。
「でも、スイングは体が先に動いて、クラブが後からついてくるんじゃないの?」
その通りです。動く順番は、体が先で、クラブが後です。それでも、意識はクラブに持っていきます。クラブをこう動かしたいと思って振れば、体が先に動いて、クラブは後からついてきます。体の動きを順番通りにやろうとすると、意識が体のあちこちへ散って、動きが止まってしまいます。
インターナルフォーカスが悪いわけでもありません。練習場でドリルをするときと、撮った動画を見るときは、体を見ます。コースでも、打つ前の素振りで動きを確認したり、アドレスをチェックしたりするのは大丈夫です。困るのは、構えてから、スイング中に体を直そうとすることです。
ボールを打つときに意識するものは、場所でも変わります。練習場ではクラブの動きを、コースでは狙った所を意識します。どちらも、体の外にあるものです。
コースでの振り方|素振りで動きを確認して、構えたらターゲットだけ
コースでは、1球ごとに、次のルーティンで打ちます。
1. ボールの後ろから見て、狙いを決める
コースで頭を使うのは、どこを狙うかです。狙うのは、ボールを止めたい所です。ティーショットならフェアウェイの広い所。グリーンを狙うアイアンなら、グリーンの真ん中です。左右に少しずれても、真ん中を狙っておけばグリーンに残りやすくなります。
決めるのは、ボールの後ろに立っている数秒で十分です。
2. 後ろで素振りをして、動きを確認する
狙いを決めたら、ボールの後ろに立ったまま素振りをして、動きを確認します。体の動きを意識してよいのは、この素振りまでです。レッスンでは、こうお伝えしています。
「動きを意識する時と、ターゲットを意識する時を、分けていただくといいかなと思います」
ボールの横に入ってから素振りをすると、決めた狙いが頭から抜けやすくなります。素振りは後ろで済ませて、構えたら、意識は狙いに切り替えます。
3. アドレスでは、ボールの位置・足幅・グリップの圧力をチェック
ボールの位置、足幅、グリップの圧力は、打つ前に直せる所です。アドレスに入ったら、狙いは頭の片隅に置いたまま、ここをチェックします。
グリップの圧力は、マックスの20%くらいが目安です。余計な力が抜けるほど、クラブの重さを感じやすくなります。
まだ動き出す前なので、チェックした通りに直せます。

4. 構えたら、意識するのは1つだけ
構えたら、スイング中に意識するのは1つだけです。狙った方向へ、フィニッシュまで振り抜く。
どこまで振るかは、ざっくりで大丈夫です。レッスンでは、こうお伝えしています。
「ここまで行くぞ、ぐらいの、ざっくりなイメージでやっていただいた方が、特にコースだと、うまくいくんで」
あとは、一気にフィニッシュまで振り抜きます。途中で止めずに、クラブの動きに任せて振ります。クラブの勢いを使えていると、フィニッシュまで勝手に行ってしまったような感じになります。

あとは一気に
フィニッシュまで振り抜く
僕は、コースでめっちゃ考えないとやれないスイングなんて、絶対やれないと思っています。風やコースの状況に合わせてスイングを変えるのは、プロでもかなり難しいことです。いつも通りに振った方が、結果はよくなりやすいです。
ラウンド中にミスが出たときの立て直し方
ミスが出ると、「今の、何が悪かったんだろう」と体の動きを直したくなります。体の動きを直すと、次の1球は、構えてからも直した所を気にしながら振ることになります。そうなると、攻め方まで頭が回りません。
ミスのあとほど、次は大事に打ちたくなります。取り返そうとして、強く振りたくなることもあります。慎重に振ればヘッドが動いてこなくなり、力いっぱい振れば毎回同じには振れません。どちらも、ミスが続きやすくなります。

ミスが出たら、まずアドレスをチェックします。ボールの位置がずれていないか。グリップの圧力が強くなっていないか。アドレスがずれていると、打つ前にミスが決まってしまいます。
直したいときも、体ではなくクラブの動きで直します。練習でヘッドを走らせる動きが身についてくると、右に出たときに「もっとヘッドを走らせよう」のように、ラウンド中にも調整できるようになっていきます。
そのうえで、次の1球も、ボールの後ろから見て狙いを決め、直したいクラブの動きは素振りで確認して、構えたら狙った方向へ、フィニッシュまで振り抜くことだけを意識して打ちます。
ラウンド中は、ボールがどこへ飛んだか、打点(フェースのどこに当たったか)、クラブの軌道がどうだったかを覚えておきます。一緒に回る方に動画を撮ってもらった日も、見るのはラウンドのあとです。その3つを思い出してから動画を見ると、思った通りに動けていたのに出たミスなのかどうかが分かります。体の動きを細かくチェックするのは、練習場に戻ってからにします。
ラウンドに強いスイングの作り方|練習場でやっておくこと
コースで考えずに振れるのは、練習場で作っておいたからです。練習場でポイントごとにチェックしておくほど、コースでは考えずに、クラブの動きに任せて振れるようになります。
ただ、クラブの動きに任せて振れていない方は、コースで考えずに振っても、うまく当たりません。先に、連続素振りでクラブが止まらずに振り続けられるかをチェックしてください。連続素振りは、クラブを止めずに、腰の高さから腰の高さまで、右へ左へと揺らし続ける素振りです。やり方は、スイング中の意識についての記事で解説しています。止まってしまう方は、クラブの振り子にタイミングを合わせる練習から始めます。

1. 体の動きは、撮った動画でチェックする
練習場では、スマホを正面と飛球線後方に置いて撮ります。スマホスタンドを使って、後ろの人の邪魔にならない所に置いてください。
撮った動画は、チェックしたいポイントで止めて見ます。スイングは止めずに振ってください。
見る順番は、始動からです。始動、ハーフスイング(左腕と地面が平行になる所)、トップの位置、切り返し、フォローの5つのポイントを、順にチェックしていきます。動画で1回にチェックするのは、1つのポイントだけにします。
ボールを打つときは、練習場では、意識はクラブに持っていきます。体の動きをチェックするのは、ドリルをするとき、打つ前の素振り、撮った動画を見るときだけです。
記事の最後でご案内している『ゴルフクラブのトリセツ完全攻略ガイド』では、スイング中にクラブの何を感じて振ればいいかをお伝えしています。
たとえば練習場で、クラブの重さが右手か左手のどちらかに偏らないように、強く握らずに支えたまま振ると、フェースの向きがそろって、狙った方向にまとまりやすくなります。切り返しで右手の人差し指に乗ってくるクラブの重さを、強く握らずに受け止めると、シャフトがしなって、飛距離を伸ばしやすくなります。
ポイントごとに何を見て、ずれていたらどんな練習をするかも、まとめています。
2. 練習の最後は、本番と同じルーティンで
練習の最後の何球かは、本番と同じルーティンで1球ずつ打ちます。レッスンでは、こうお伝えしています。
「練習ではもっと適当に振る練習をやっていただく。そうするとコース行った時に、いい感じの適当ぐらいになるかと思うんで」
ここで言う適当は、慎重に打つのとはかけ離れた振り方です。結果を見て体の動きを直さずに、フィニッシュまで振り切ります。
- ボールの後ろから見て、狙いを決める
- 後ろで素振りをして、動きを確認する
- アドレス(ボールの位置・足幅・グリップの圧力)をチェックする
- 構えたら「狙った方向へ、フィニッシュまで振り抜く」だけを意識して、途中で止めずに一気に振る
- 結果が悪くても、その場で体の動きは直さない。体の動きを直すのは、動画を見てから
最後を本番と同じルーティンにしておくと、冒頭の1つ目のパターンにも気づけます。インパクトで合わせながら打つスイングでも、練習場で慣れてくると、ナイスショットの確率は上がってきます。ただ、その日の調子で当たり外れが大きく、少し油断すると大きなミスが出ます。最後の何球かを本番と同じルーティンで1球ずつ打つと、練習場で合わせて打てていただけなのかが見えてきます。
インパクトで合わせなくても当たるように、クラブに仕事をしてもらう振り方は、ガイドで、ゴルフクラブにしかない5つの特性から順に解説しています。
まとめ:動きの確認は素振りまで、構えたらターゲットだけ
ラウンドに強いスイングとは、コースでスイングを細かく考えなくても振れるスイングです。
コースで動きを確認するのは、打つ前の素振りまで。アドレスをチェックして構えたら、スイング中に意識するのは「狙った方向へ、フィニッシュまで振り抜く」の1つだけです。ミスが出たら、まずアドレスをチェックし、直すなら体ではなくクラブの動きで直します。体の動きは、練習場で作っておきます。
コースでスイングを細かく考えなくても振れると、頭を、どこを狙うか、どう攻めるかに使えます。スコアは、ナイスショットの数より、大きなミスの数で決まります。頭をコースのことに使えると、その大きなミスが減っていきます。
考えなくても振れると
大きなミスが減っていく
エクスターナルフォーカス(外的フォーカス)に、もっと意識を持っていきたい方は、『ゴルフクラブのトリセツ完全攻略ガイド』で意識の持っていき方を変えていきましょう。ガイドの下の部分には、エクスターナルフォーカスでスイング中にどういったところを意識すればいいのかもお伝えしています。
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